ARNYUKI

生真面目マイラー参上

旅行とエアラインが大好きな機械系エンジニアのブログです。2016、2017年度ANAプラチナ。SFC取得。2018年度JALサファイア&JGC獲得。

ANAの機内食のバラエティーを調べてみた(12月)


国際線の機内での楽しみの1つが機内食

一般から寄せられた各社の機内食情報を集めたこちらのサイトはけっこう有名です(数年前に書籍化もされました)。

機内食・ドットコム~機上の晩餐~

たいてい各社とも機内食メニューは1~2か月ごとに変わるので、それなりに飽きない工夫がされています。まあ、アメリカの航空会社を見てると、オムレツにかかるソースが変わるとか焼きそばの具材が変わるとかいうマイナーチェンジばかりなので、変わり映えのしない食事が出ることが多いですが・・・・



ここでふと気になったのが、例えば成田発のANA便の機内食は行先ごとに違いを持たせているのか?ということ。同じ航空会社なら機内食を作る工場は同じなのである程度はメニューを共通化しているとは思いますが、どの程度なのか?

ANA機内食メニューはネットで公開されているので、これをもとに2016年12月の路線ごとのエコノミークラスのメニューを比べてみました。

ECONOMY CLASS 機内食・ドリンク|Service & Info[国際線]|ANA




本題の前に、機内食の基礎知識


なぜ機内食が出るか?

IATA(国際航空運送協会)の規定で、飛行時間が一定を超える便では機内食を出す、と定められています。といっても法的拘束力はないので、よほど飛行時間の長い国際線でしか出さない会社もあれば、日本の航空会社のように国内線でも上位クラス向けに出しているところもあります。以降、国際線について書きます。


いつ、何回でるか?

飛行時間が短い(目安7時間以下)路線では機内食は離陸後または到着前に1回、場合によってはそれに加えてスナックが出ます。

飛行時間が長い路線では機内食は離陸後と到着前の2回、場合によってはフライト半ばにスナックも出ます。発着時刻がいつであろうと、飛行時間がどれだけ長かろうと、離陸後と到着前です。たいていは1回目の食事のほうが量が多く、2回目は軽食程度です。深夜早朝発だと逆になることもあります。いずれにせよ、フライト前にレストランやラウンジでお腹一杯になると後で苦しくなります

ドリンクサービスは、1回目の食前・食事中・食後、(フライト中間)、2回目の食事中・食後、にあるのが一般的です。コーヒーなどのホットドリンクは準備の手間があるため、会社によっては食後のみの提供としています。また、ペットボトルの水を全員に配ったり、ギャレー(機内の数か所にある、機内食などが保管されている場所)にセルフサービスのドリンクを常置している場合もあります

ANAJALのすべての国際線や、海外エアラインの長距離路線ではビールやワインなどアルコールも無料です。以前スカンジナビア航空の成田⇔コペンハーゲンに乗った時に「1回目の食前のソフトドリンクのみ無料、以降全て有料」と言われてちょっと驚いた記憶がありますが、珍しいケースでしょう。


どこで作っているか?

日本で機内食製造を請け負っているのは、以下のように数社しかありません。各空港の近くに工場を構えていて、調理からカート詰め込み、機内への運搬までを担当します。

  • ティエフケー
  • ジャルロイヤルケータリング
  • ロイヤルインフライトケータリング
  • エイエイエスケータリング

・・・・

一部の例外を除いて、機内食は出発地で調理して飛行機に積み込まれます。海外エアラインは日本のいずれかの業者と契約して日本発の便の機内食を作ってもらっていますし、逆に日本の航空会社は海外発の便の機内食を各国の業者に委託しています。

したがって、同じ路線でも行きと帰りで味加減が違う、ということがよくあります。日本人による口コミを見ると、特に日本食についてはやはり日本発のほうがおいしいと感じる人が多いようです。


メニューの充実ぶりは予算次第?

数々の機内サービスの中でも、機内食は航空会社のお財布事情がダイレクトに反映される部分です。 例えばJALの経営破たんから業績回復までの機内食(エコノミー)の傾向を見てみると、

  • トレイの大きさが縮小、業績回復後に拡大。品数もそれに伴い増減。
  • 食前のドリンクサービスが廃止、業績回復後に復活。
  • 一部路線では通常のホットミールからボックスミールに変更も、業績回復後に元に戻す。


いずれも、表向きは「お客様の声を受けてサービスを見直した」としていますが、私はあまり信じられませんでした笑。ご興味ある方はこちら のサイトから探してみてください(2010~2013年あたり)。JALの例はかなり分かりやすいケースですが、他にも材料費のかからないメニューにするなど、パッと見では分かりにくい変更をする会社もあります。

ANAも2016年になって、トレイを小さくしたり、プラスチック製コーヒーカップを無くしたり、といった変化が出てきています。



航空会社によってお財布事情やサービスへの注力度が違うので、機内食の質や量もまちまちです。

例えば、最近私が撮影したANAとユナイテッドの同じ路線(東京→サンフランシスコ)の機内食を比べると・・・

f:id:arnyuki:20161215125825j:plain:w300 f:id:arnyuki:20161215125934j:plain:w300

差は歴然です。アメリカの主要3社は機内食にあまり力を入れてません(特にエコノミー!)。サービスにかける時間も大きく異なり、ANAは離陸から2時間半以上かかってようやく1回目の機内食が下げられるのに対し、ユナイテッドは離陸からわずか1時間半ほどです。

これだけを見ても、(ちょっと大げさですが)日本のエアラインのユーザーでよかったと思います。まあ、ANAANAで下膳が遅くてお手洗いに行けないという難点もありますが・・・

12月の東京発ANAエコノミー機内食一覧


公開情報をもとに自分なりにまとめてみました。路線カテゴリー分けも自己流です。今回はメインの品(写真つきで掲載されているもの)だけをピックアップしています。クリックで拡大します。

f:id:arnyuki:20161216094500j:plain


おおざっぱに言うと、メニューは飛行時間や方面ごとに共通化されているようです。また、深夜発でないかぎり離陸後のほうがメイン扱いで量が多く、欧米路線ではアイスクリームもついてきます。

飛行時間が特に短い路線(2時間台)ではメニューが1種類だけで選択不可になっています。乗客1人ずつにメニューカードを渡して選んでもらう時間的余裕が無いということでしょうか。この辺はJALも同様のようで、中国路線(関西~杭州)に1度だけ乗ったことがありますがその時もメニューは1種類でした。

ところで、各メニューを1日にどれだけ製造しているのか?

たとえば表の一番上、長距離欧米線(昼間便)は17路線あります。先日の記事 に書いた機材割り当てをもとに、エコノミー+プレエコの総座席数を計算すると、2773席。メニューA/Bはおそらく半分ずつでしょうから、海鮮ちらし丼やビーフシチューは1日あたり最大で約1400食ずつ製造されていることになります。 機内食製造はあまり機械化されていないので、シェフの皆さんの大変さを思い知らされます・・・



同じサイトでビジネスやファーストの機内食も公開されています。いつか食べてみたい~